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制酒の技法1 睡眠時間を増やす [技法]

 アルコール依存は病気ではありません。医師は結局何もしてくれません。抗酒薬の処方箋と断酒サークルの連絡先をよこすだけです。それだけでお金を稼げるのだから、すてきな商売です。

 同様に断酒サークルも何もしてくれません。毎晩仕事帰りに集まって延々結論の出ない話し合いをするだけです。全く無意味とはいいませんが、一種の時間の無駄です。アルコール依存を克服するのは結局、個々人の自覚ですから。

 断酒は難し過ぎます。これだけ飲酒文化が根強く定着した日本社会で、断酒を貫き通すのは並大抵のことではありません。

 歓送迎会の席上で、あるいはお正月のお祝いの場で、冠婚葬祭の膳(ぜん)で一滴も飲まないのは奇異の目で見られるだけでなく、人間関係にも傷をつけかねません。

 そういった宴席で酒を固辞するあなたは、ご自分で「わたしは“アルコール依存”だ」と宣言しているようなものです。本当なら隠しておきたいことが、断酒行動によってバレバレになるのです。

 これからの季節、例えば忘年会で、フグちり鍋を囲むとき、断酒中の人はいったい何を飲んだらいいのでしょうか。せっかくの忘年会が耐えられない時間に変わってしまいます。ほかのみんなは楽しくやっているのに、自分だけ心で涙を流しているのです。

 本当に、断酒というやり方が人間を幸福にしくれるのでしょうか。そんなことはありません。いくら医師や専門家はどう言おうとも、わたしは断酒という方法はウソだと思います。人間を決して幸福にしません。

 アルコール依存者が、忘年会の席で酒を飲んだっていいじゃないですか。たった1回のわずかな飲酒でダメになるなら、断酒という方法は大きな欠陥のある方法だと証明するようなものじゃないですか。

 ですから、わたしは断酒に代わって、自分で飲む酒を自分でコントロールする「制酒」を提唱しています。「制酒」は断酒と違って時々、あるいは毎日でも一定量のアルコールを摂取することが可能です。

 勤務先や周囲に気付かれることなく、ひそかにアルコール依存を克服することが可能です。ただし、一切の依存を断つというのではありません。基本的に依存していても、飲みすぎず、ブラックアウトしない方法です。

 わたし自身は、この「制酒」の方法を自分自身の体験から編み出しました。最初は手探りで、そのうち確信をもって。今では、自分の開発した「制酒」法を世に広めたいと願っています。

 前置きが長くなりました。今回からいよいよ「制酒」の技法の1つひとつをご説明していきたいと思います。

 さて、かつてのわたし同様、アルコール依存にお悩みの皆さんに真っ先にやっていただきたいことがあります。

 それは睡眠時間を増やすことです。

 何だって、そんなバカバカしいと思わないでください。実は、たばこや肥満・飽食も含めてすべての依存に即効で効くのが睡眠時間を増やすことなのです。

 1日は24時間です。多くの人は睡眠7時間、労働8時間、通勤往復2時間、朝夕食事1時間、家事・洗濯・入浴2時間を費やしているのではないでしょうか。これだけで19時間です。ですから残りの5時間がいわゆる余暇、自由時間です。

 いわゆるアルコール依存の人たちは、この5時間の大半を飲酒とそれに続く酩酊(めいてい)の時間に費やしてしまいます。いえ、時には5時間を超えて、睡眠時間を削ってでも飲んでしまうのです。

 皆さんには会社帰りにハシゴ酒、家に帰ったら午前様なんて経験がありませんか。かつてのわたしはほぼ毎日こんな生活を送っていました。

 その罪悪感を取り返すように、今度は無理やり早起きしてみたり。皆さんの周囲にもいませんか。宴会のあった翌日、大酒を飲んだはずなのに誰よりも早く出社してきて、酒臭い息を吐きつつタフを気取る中高年が。

 その手のタイプは大抵アルコールに依存しています。睡眠時間よりも飲酒時間を長く取ることからも明らかです。早起きは問題飲酒のカムフラージュに過ぎません。

 かつてのわたしもそうでしたが、アルコール依存者には睡眠時間が短い人が多いのです。睡眠を削ってでも酒を飲みたいのです。

 そう考えると逆に、飲酒時間(飲酒量)を減らすには、睡眠時間を増やせばいいと思いませんか。

 そうなのです。睡眠時間を増やすと、飲酒時間が減り、必然的に飲む量が減ってきます。睡眠時間拡大こそアルコール依存克服の第一歩なのです。

 先ほどたばこや肥満・飽食などの例を挙げましたが、実は睡眠を増やす方法は世界中の多くの専門家が勧める、最も簡単な方法なのです。例えば、欧米の医療機関では、重度のヘビースモーカーに睡眠剤を服用させる治療が実際に取られています。

 被治療者に水分と栄養を十分に補給して、長時間作用する睡眠薬で半日以上、睡眠を取ってもらいます。それを数日間続けたあと、被治療者は喫煙の欲求が自然に消えています。つまり、ニコチンの離脱症状(禁断症状)を睡眠でやり過ごしたのです。

 これはアルコール依存に対しても極めて有効な方法です。わたしの体験からも断言できます。

 アルコール依存にお悩みの方はたった今、今日これから睡眠を1時間増やして、8時間にしてみてください。例えば、毎朝6時起床の方は、逆算して前夜午後10時には布団に入ることにしてください。

 就寝前に、夕食時に飲酒するのは全く構いません。ビール、日本酒、焼酎、ウイスキー、ワイン……何をどれだけ飲んでも構いません。ただ午後10時には寝床に潜り込むことにするのです。

 すぐに寝付けなくても全く問題ありません。何なら、寝床にラジオやヘッドホンステレオを持ち込んで、音楽を聴いてても構わないのです。要は寝床に就いて、目をつぶるという行為が大事なのです。

 人間にとって休息の方法は、食事と睡眠以外にありません。自分の体をいたわり、酒量を減らすこの方法、まさに一石二鳥の効果なのです。

 翌朝、その劇的効果を実感できることでしょう。今まで5時間を飲酒に費やしていた方は1時間減って、2割も酒量をセーブできたのです。一方、睡眠時間は7→8時間、14.2%も増えました。それだけ、あなたは健康的になれたのです。

 1円も費用がかからず、誰からも束縛されず、いくらでも酒を飲んでもよく、それなのに睡眠時間中に体を癒やすこの方法、どうか今すぐ実践してみてください。


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コメント 6

ミッキー

はじめまして。
この記事に感謝します。ありがとうございます。
わたしはお酒が大好きなのです。
しかしながら、勉強や、いろいろに不都合があるような気がして、やめようとおもいました。
ブラックアウトを体験し、依存症専門医のところにいきました。
ブログのとおり、まったく解決しませんでした。

機嫌が悪くなることがありました。睡眠時間を長くすると、確かに大丈夫なのです。それは、悪いことだと思っていました。

いろいろご都合あると思いますが、続き楽しみにしております。今後ともよろしくお願いします。m(__)m
by ミッキー (2014-05-03 18:16) 

ナカムラ

大変興味深く拝見いたしました。私自身一滴も飲めない下戸なのでアルコール依存については皆目見当がつきません。知人がアルコール依存でちょっと困ったことになっているのでこの1以降の技法をぜひとも知りたいのですがブログを再開してはいただけませんでしょうか?貴重な情報をありがとうございました。
by ナカムラ (2014-07-25 11:37) 

RIKACO

アルコール依存症の治療には断酒しかない。治療しないと平均52歳で亡くなります。いくら節酒をしようともやがて必ず連続飲酒になり、急性すい炎 食道静脈瘤破裂 などの致死率の高い症状 そうでなければ肝硬変から肝臓がん 多臓器不全 脳への重大なダメージ…
by RIKACO (2014-09-20 10:46) 

ダニエル

アルコール依存症の治療は生死に直結。飲み続けると必ず悲惨な最後になる。肝硬変から肝臓がん、腎臓病、急性すい炎、食道静脈瘤破裂、人格破壊、多臓器不全…。治療しない場合の平均寿命は52歳。節酒を個人で行うのは自由。治療には全くなりません。
by ダニエル (2014-09-22 07:19) 

haruu

アルコール依存症にも、軽度、中度、重度 とあると思います。
断酒は、たしかに、非人間的な方法だと思いますが、それを選ぶのも自由だし、それしかない人もいるのは事実ではないでしょうか。
私も、断酒はできなかったので、節酒・制酒でやってます。
年に9回は飲んでいい としています、もう、9回飲んだので、もう飲めません。
ときどき飲みたいですが、飲んでいいよ と言われると、すっと、飲む気持ちが消えたりします。
社会は、アルコールの害について、もっと、きちんと認識するべきですね。
酒害から多くの人を救うには、断酒よりも、節酒・制酒という方法は、現実的で効果のある方法だと思いますし、私の意を強くしました。

by haruu (2014-10-26 22:20) 

hiomiboo

京王閣三さま
その後は節酒でうまくいってますか?
私は断酒しかないと思いながらも止めようとすると囚われたようにおさけに執着するし…ぜひ参考にしたいです
睡眠は分かりますね
のめないようにするのには寝るしかえりません
ただ仕事終わった直後が戦いです
by hiomiboo (2014-12-24 19:25) 

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